株式会社と合同会社、どちらにすべきか|費用差13万円の中身

会社を作ると決めたあと、最初に選ぶのが会社形態です。 設立費用だけを見れば合同会社が明確に安いのですが、 その差額で何を買っているのかを理解しないまま選ぶと、あとで面倒が発生します。 まず金額を確定させてから、金額に表れない差を見ていきます。

設立費用の差は13万円前後

資本金100万円・電子定款という条件で、法定費用はこうなります。

  • 株式会社:192,000円(定款認証40,000+謄本2,000+登録免許税150,000)
  • 合同会社:60,000円(登録免許税のみ)

差額は132,000円。この差は2つの要因でできています。

  • 定款認証の有無:株式会社は公証役場での認証が必須で、 資本金の額に応じて3〜5万円かかります。合同会社は認証そのものが不要です。
  • 登録免許税の最低額:どちらも資本金の0.7%ですが、 下限が株式会社15万円、合同会社6万円と設定されています。

資本金を変えるとこの差も動きます。計算ツールで自分の条件を入れると、両方の金額が並んで出ます。

金額に表れない4つの差

1. 決算公告の義務

株式会社は毎年、決算内容を公告する義務があります(会社法440条)。 官報に載せる場合は年間6万円前後の掲載料がかかるため、設立費用の差13万円は、2〜3年で埋まる計算になります。 合同会社にこの義務はありません。

2. 役員の任期

株式会社の取締役には任期があり、原則2年(株式の譲渡制限がある会社なら 定款で最長10年まで伸ばせます)。任期が切れるたびに重任登記が必要で、 そのつど登録免許税がかかります。 合同会社の業務執行社員に任期はなく、この手間自体が発生しません。

3. 対外的な信用

これは制度ではなく慣習の問題です。取引先や金融機関によっては、 合同会社というだけで取引口座の開設に慎重になることがあります。 BtoBで大企業を相手にするなら株式会社、 BtoCやEC・受託が中心なら合同会社でも支障が出にくい、というのが一般的な整理です。

4. 資金調達の選択肢

株式会社は株式を発行して外部から出資を受けられ、将来の上場も可能です。 合同会社にはこの道がありません。 ベンチャーキャピタルからの調達を視野に入れるなら、最初から株式会社を選ぶことになります。

あとから変えられるのか

合同会社から株式会社への組織変更は可能です。 ただし手続きには官報公告と登記が必要で、 設立時の差額13万円と同等かそれ以上の費用が発生します。 「とりあえず合同会社にして、あとで株式会社にすればいい」という判断は、 トータルでは割高になりやすい点に注意してください。

判断の目安

  • 合同会社が向く:一人または少人数、外部資本を入れる予定がない、 BtoCやEC・受託中心、ランニングコストを抑えたい
  • 株式会社が向く:大企業との取引が中心、 将来的に出資を受ける可能性がある、採用で会社形態が効くと考える

自分の資本金でいくらになるか:会社設立の費用を計算する →

本記事は2026年8月1日時点の制度にもとづいています。 金額や要件は改正されることがあるため、最終的な判断の前に公証役場・法務局または専門家にご確認ください。